one photograph

最初にこの写真を見た時にえも言われぬ感情を抱きました。
一晩明けて、その絡み合った感情の糸の間にわずかな隙間が見て取れました。
片一方は刹那さで、もう一方は安堵という糸でした。
刹那さとはその通り、せつないということで、自分が当時夢中だったモーニング娘。がこの写真の中にいて、写真の中にしかいないという事実。そのことを単純に物悲しく思うのです。そう、当時はテレビにもいっぱい出てて、俺の好きなドラマや映画にもバンバン出てたし、CDも常にトップセールスを記録していて、ライブでも人がいつも満員で、ヲタたちも今とは比べ物にならないほど、ほんとわけがわからないくらいに熱かったよなぁ、という懐古。その当時の俺は「モーニング娘。解散」ということを一番恐れていたと思います。半ば本気で、というかかなり本気で、「今モーニング娘。が解散したら俺は明日から何を糧に生きればいいんだ」と、その時今の仲間もいなかったので2ch掲示板に書き込みました。当然ながら2chなので反応は冷ややかなものでした。
それから時は流れて、いつしか俺の中で解散ということ自体にそれほどリアリティがなくなっていきました。モーニング娘。は年ごとに新陳代謝を行い、更新していく。生物が環境に適応するため、自らの体を進化させるように、モーニング娘。も変化し、進化して行く。それはまさしく生への意志であり執着。モーニング娘。を創り出した創造神であるつんく♂や事務所の方針なのです。人間と同じでモーニング娘。はもはや滅びることをやめました。そんな存在に俺の心はだんだんと離れて行き、辻加護が卒業したことで彼女達を応援する大義名分もなくなり、いよいよ本格的にモーニング娘。を見なくなっていきました。辻加護が卒業した時に不思議と悲しい気持ちはありませんでした。卒業ライブでも涙の一滴すら流れませんでした。後藤や保田の卒業式はわけも分からず泣いてしまいました。きっと辻加護卒業の時点で既に俺の中の当時のモーニング娘。に対する未練が薄らいでいたんだと思います。そして、もう一つは良く分からなかったからだと思います。どこか心にもやがかかっていて、自分の中でのモーニング娘。というものが判然としなかった。辻加護が卒業したことで、当然のように俺はそっちへ移行したけど、置き去りにしてしまった肝心のモーニング娘。を俺は何一つ総括できていなかった、そう思ったのです。しかしこの写真を見た時、それができた気がしました。


モーニング娘。はこれからも変り続け、生き続けるだろうけど、僕が夢中だった、青春の熱いエネルギーを投げかけたモーニング娘。はこの写真の中にいる、そこにしかいない。それが俺の出した一つの結論でした。


安堵感というのは、自分の中で何かをまとめることができたから出てきたものなのでしょう。決して時間はもとには戻らないだろうけど、これからも先もこうやって行事があるごとにみんなで集まって、当時の思い出を語り合い、抱いていた共通の何か、魂とも違う何か共通のものを確認し合い、励ましあうこで、また日々の各々の場所に戻っていく。一般的に言うとこれは絆ってものなんだろう。それをこの写真からは感じることができる。一ファンに過ぎなかったこの俺にも感じることができる。当時、モーニング娘。が好きで好きでたまらなかった故に思い抱いた解散という不安。でも、その時既に俺は思い描いていました。解散の先に何があるのかを。そんなに確信めいたものじゃなくて、本当にちらっとだけ、心に思い描いていたのです。彼女たちがモーニング娘。じゃなくなった後も、みんな元気でやっていて、たまに集まってはこうやって楽しげな笑顔を浮かべて写真を撮ることを。上手くは言えないんだけど、ずっと記憶の奥底に沈殿していた映像が、この写真を見た時に重なりました。だからこそ俺はやっと、今、自分の中で古いモーニング娘を片付けることができたと思うのです。きっと、こういうことなんだと思う。ずっと行き先が分からなかった自分の子供。死ぬ前に一度だけ見たい。幸せなのか、そうじゃないのか。出来れば幸せでいて欲しい。それが確認できないと死ぬに死ねないみたいな。うん、きっとこういうこと。モーニング娘。は解散という総括をこれまでずっとしてこなかったから、俺の中でも、恐らく応援していた多くの人の中でも、はっきりとしなかったんだと思う。モーニング娘。というのが一体何だったのか。それさえもぼやけていて掴むことができなかった。そして、突然突きつけられたこの写真。恐らくこれは俺にとっての最後通告であり、ずっと心のどこかにひっかかっていた何かを日の当たる場所に吐き出してくれた一枚の写真というかたちをとった知らせ。解散ライブという派手な舞台はなかったけど、こうやって一枚の写真によって彼女達がその後を、日々幸せに生きているということを知るのは、うん、なかなか悪くないね。


今まさに、俺の中でのモーニング娘。というのは一つの終わりを告げました。
そして、みんな今も元気でやっていて、幸せそうだ。
こんなに嬉しいことはない、こんなに楽しいこともない。
そんなことを思っていたら不思議と涙が出そうになりました。
というのは、半分嘘です。
泣きそうになったもう半分の理由、それはこの写真に写る辻希美さん。
この娘は本当に・・・
今彼女の顔を見て、抱いている感情の糸を紐解くことはしない、いや、できずにいる。
きっと解いてしまえば、大したものじゃないかもしれない。
でも、そうじゃなかったときのダメージは計り知れない。
そこらへん俺は勇気がないね。だから考えない。思いを馳せることもしない。
この写真ももうそういった風に思いを込めて見ることはしない。
この感情は一旦しまっておくことにしたのだから。
きっとそのうちに







この先、一応のふんぎりがついたからといって、おいそれと新しいモーニング娘。を手放しで応援できるとは限りません。だからといって、認めないというわけでは絶対にないですが。実際にそこまで単純ではないのです。もしかかしたら、いつまでの過去を懐かしむ人間になるかもしれません。それでも、今日、一応の区切りはつけたつもりだから、新しい方へ向かっていけるといいな。




では、今日は以上。




■追伸1
まぁ、でも今もモーニング娘。は新しいメンバーでがんばっているのに、なんか随分と偉そうで失礼なこと書いちゃったような気がするなぁ。でもこの感情だけは本物なんだよね。
それとよっすぃーにはなんかほんと申し訳ないてか、彼女が写ってないのが不憫でならない。


■追伸2
話はかなりずれますが、Missラブ探偵シングルVとともにCDの方も本日無事ゲットすることができました。感想はまた後ほど。